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噺家語辞典


朝日新聞社主催 『朝日さわやか寄席』の
プログラムに「現代・落語家語辞典」として
             好評(?)掲載中
    ごくたまに出演する三遊亭圓窓の筆

挨拶(あいさつ)
 その言葉は覚えにくいとか、難解とかという評は聞かない。「おはようございます」「ご苦労さまです」「お疲れさまです」「ありがとうございます」「すいません」など、一般用語となんら変わりはない。その人の性格に素直さがあるか、ないかも挨拶の重要な要素になる。あるに越したことはないが、それがなくても、「芸人の命はヨイショ」を自覚しているの者は、挨拶が巧い。だが、ヨイショだけの挨拶の皮はいつか剥げる。また、芸歴を重ねてきて、下の者に挨拶を返さない咄家もいる。年輪だけで偉そうな気分を味わう淋しい芸人の典型だろう。

一席物(いっせきもの)
 落語を勘定するときの単位。所要時間に決まりはない。十分でも一席、一時間でも一席。ただし、小咄一つだけでは一席物とはいわない。関連ある小咄をいくつか並べて演じ、それにタイトルを付けて一席と認知することはある。
[四宿の屁]はその代表。寄席の普通興行では出演者は持ち時間が十分から十五分の一席物を演る。寄席の掛け持ちをすれば、日に二席、三席になる。二人会、三人会となると、一人が二席することが多い。また、独演会となると、三席することもしばしば。先輩の金馬師が胆石で入院した折、見舞いの歌を送ったことがある。
 
 若手なら一席二席は誰もする 胆石(三席)するとはさすが真打ち