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「自 警」からの新年のご挨拶

平成18年1月15日 自警会発行
 文責 三遊亭 圓窓

 明けましておめでとうございます。
 小学校四年の国語の教科書にあたしの口演する落語[ぞろぞろ][寿限無]が掲載
されている関係で、教室に乗り込んで児童に落語の授業をしております。
 過日、落語ライブのあと、児童にこんな話をしました。
「“子宝”という言葉を知っているね。子供は宝だ、ということなんだけど、本当は
君たちはまだ宝じゃないだよ。いずれ宝石になるであろう原石なんだ。だから、その
原石を削って、磨いて、鍛えてなくてはいけないのだよ。そのおかげで、社会に出て
働いたときに宝石になるのだ。その輝きは永遠だよ。お年寄りになっても輝いている。
だから、お年寄りこそ宝なんだよ。お年寄りを大事にしようね。しっかり介護しよう
ね」
 児童から「はぁい」という元気な返事が返ってきたときはとても嬉しかったです。
 児童と高齢者問題を話し合って、高齢者の尊さを植え付けるべきです。子供を宝と
して過保護に大事にしすぎると、どうしてもわがままを先に出してしまい、高齢者を
邪魔者、弱者扱いにしてしまう輩が世に蔓延ることになるのです。
 こんないざこざがありました。
 五十代の男が隣家の八十代の高齢者を往来で「くたばってしまえ!」と罵倒しまし
た。
 すると、その男の女房が家から飛び出してきて、「あなたッ。年寄りになんてぇこ
とを言うのよ!」と制したのです。
 あたしはこの女房はしっかりした人間だな、と思ったのですが、そうではなかった。
続けて、こう言ったのです。
「そんなこと言わなくたって、もうすぐ、くたばるわよ!」
 笑い話ではありません。悲しい話です。
 あたしは子供たちが落語を通して、将来、しっかりした宝になってくれることを願
っております。
 今年も、落語の授業で小学校、中学校、大学、塾を回ります。
 将来、警察学校へ落語の授業に行きたいなぁ、と夢を見ております。
2006・7・16 UP