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熊本労音落語劇場熊日名人寄席

第19回 『熊日名人寄席』


2005年9月18日(日) 18時  西合志町町民センター
19日(祝)  9時    益城町総合体育館
14時 朝霧町須恵文化センター


落語
バイオリン漫談
動物の物真似
浪曲
漫才
三遊亭窓輝 「釜泥」
福岡詩二
江戸家まねき猫
玉川福太郎 「青龍刀権次」
おぼん・こぼん




落語 三遊亭圓窓

ご当地「菊地民話」の落語化
二席口演「瓶の芋」「おはぎ大好き」




二日も追っ掛けちゃった
チャッキー(?才 女性)
 チャッキーです。
 9月18日、夕方、待望の西合志町町民センターの楽屋に圓窓師匠を尋ねると、近
接の図書館へお出かけとのこと。
 すぐに図書館へ出向くと、棚に囲まれた中で師匠が地元の民話の収集中。
「面白い話しを見つけた」と嬉しそうにそのページをコピー。
 そのお手伝いをちょいとさせてもらって、あたしは会場へ。そして師匠は楽屋へ。
 その途中で主催者の方からの「なにか見つかりましたか?」の問いに、
  師 匠「はい、面白い話しを見つけましたよ」
  主催者「短時間でよく見つかりましたね」
  師 匠「本は勘で見つけるもんですよ。図書館(勘)て言うでしょ」(笑)
 思わぬ所で即席小咄の聞けた喜びは、他人にはわかるまい。(エッヘン)


 ピンポイント感想を書きます。
 18時に開演。
 窓輝さん登場。圓窓師匠にどんどん似てくる。高座後、司会進行も。ご苦労様でし
た。
 バイオリン漫談の福岡詩二さん。初めて聞いたので、驚きがほとんど。
 まねき猫さん。整形したのではないかと思うくらい美人になっていて、見違えてし
まった。顔と着物「ニアゥー(似合う)」
 浪曲の玉川福太郎さん。三味線もいい。
 圓窓師匠の[瓶の中]はさきほどの図書館で仕入れたばかりの民話の落語化。
  粗筋:冬のある日、和尚が貰ってきた瓶の中の芋を小坊主達が食べてしまった。
     小坊主達は和尚に見つかると「瓶が食べたのでしょう」をうそぶく。
     仕方なく、和尚は瓶の中に冷たい空気を入れて蓋をしてしまう。夏になっ
     て、その空気で涼もうという魂胆。
     夏、小坊主達が涼もうと瓶のフタを開けたが、熱い空気しか出てこない。
     小坊主達は怒って瓶にオナラを入れて蓋をした。
     後刻、そんなこととも知らずに蓋を開けた和尚、あまりの臭さに鼻を押さ
     えながら「芋を食べたのは瓶だった」


 古典落語の[転失気]を越える噺になりそうな予感。
 何年か前、天草での圓窓独演会で口演した[梅]の噺も、当日わずかな時間で出来
た噺。ちょっとした素材から1,2時間で一席の噺を作る師匠の凄さをまた味わいま
した。
 20時20分過ぎに終演。
 中秋の名月を眺めながら帰宅しました。


 備考として。
 19日の益城町へも追っ掛けました。同じ出し物でした。
 補足と朝霧町の公演の報告は、一家で駆けつけた仮名さんお願いしま〜す。


 師匠、窓輝さん。二日間で3回の公演と長時間の移動、お疲れさまでした。




図書館まで追っ掛けられて
三遊亭圓窓
 チャッキーさん。二日間の追っ掛け、ありがとう。
 あたしも紀行文をしたためますよ。


 18日、窓輝と羽田空港へ。
 浜松町からのモノレールに急行ができたらしい。それに乗った。なるほど早い。あ
っという間に終点の空港第2ビル駅。13時。なんとなく愉快だ。
 飛行機は「熊本行き14時発」と聞いていたので、そのままANAの出発口へ。し
かしANAにはその時間の便はない。案内嬢にきくと「その時間発はJALです。第
1ビルへまわってください」と。エッ!!! 八月にANAで富山を5往復したので、
ANAだと勝手に思い込んでいた、そのせいだ!!!
 案内穣によると「行き方は地下から徒歩か、一階から五分置きの港内バスに乗るか、
あるいはモノレールで戻るか」の方法があると言う。腰痛の都合もあるので、結局、
バスで第1ビルへ。杖をついているくらいだから、さっさと歩くのは辛い。猶予時間
はあるのだが、どうしても歩行は早くなる。腰によくないけど、仕方ない。
 連中がいた。福太郎、福岡詩ニ、招き猫、そして、プロダクションの本牧亭のおか
みさんが……。おぼん・こぼんは先乗りしているとか。
 さて、熊本空港から迎えのバスで熊本県西合志町の町民センター入り。隣に図書館
があったので民話探しに。閉館17時の15分前に入館。あった。「菊地むかしむか
し」という本。ここは菊池郡である。和尚が瓶に寒の風を入れて夏までとっておく、
という話。
 コピーを頼もうとしていると、楽屋で聞いたのだろう、チャッキーさんが「勉強中
ですね」とくる。
「師匠。あたしが借りられたら、ゆっくり読めますよね」とチャッキーさん。
 なるほど、チャッキーさんは熊本市の人。ここと同じ県民だからそれは可能だ、と
思って係りの人に訊くと、「県人でもこの地域外の人ですので、手続きが必要です」。
 とても手続きしている時間はない。たぶん、何日もかかるのだろう。それはできな
いので、あきらめて設置されているコピー機のお世話になることを決めた。コピー代
は本を開いての1ページなので20円。ポケットに小銭は入ってなかったので、チャ
ッキーさんに立て替えてもらう。
 早速、それを落語化。高座で「瓶の芋」と題してマクラとして振る。ありがたいこ
とに小生のしがない財産が一つ増えた。それに以前、拵えた民話落語、菊地郡の民話
からアレンジした「おはぎ大好き」を口演。
 西合志町の会場へやってきた妙齢な御婦人の一団があった。紙芝居「寿限無」の制
作協力者の井田さんの友人たち(公害環境問題に取り組む活動を続けている人々)が
大挙して駆けつけてくれた。そればかりではない。20人分の寿司を差し入れしてく
れた。名物の馬肉の握りもあって、楽屋で評判。小腹の空いてた連中なので、あっと
いう間になくなる。
 ところが、高座で漫才の「おぼん・こぼん」が、「熊本日々新聞社が寿司を差し入
れしてくれた寿司の旨いこと」って。違うよ!!!!!(笑)


 チャッキーさんがロビーで落語グッズ販売をしてくれてた。その前を通った親子連
れが紙芝居「寿限無」を見つけて、「これ、ボクの家にもある」って大きな声。そう
そう。熊本では、妙齢な御婦人の一団が紙芝居を買ってくださった。サイトで改めて、
御礼を言います。「ありがとうございました」。


 終演後、宿泊のニュースカイホテルへ。晩飯、ホテル内の料亭「光琳」。主催者の
挨拶で「19年目」と知る。
 新聞社主催の寄席の会って、なかなか長続きはしないものだのだが、「19年目」
とは、凄い。未来永劫に続けてほしい。





一家で追っ掛けちゃった
 仮名(?才 女性)
 圓窓師匠と窓輝さんがはるばる遠い九州への旅一座に組み込まれているというの
で、なんとか追っ掛けました。
 19日。一家(両親と私)で、鹿児島から車で片道2時間半の朝霧町須恵文化セン
ターへ。


 14時の開演なのに師匠から「会場入り」の連絡メールもなく、もう師匠にはお目
にかかれないかとさえ思いました。
 一家三人で最前席で今か今かと待っていましたら、連絡のあったのが、開演15分
前の13時45分。
 時間が押していて、もうお会いできないかと思いました……。
 その時、歴史が動いたのです!
 師匠がいきなり顔を出したではありませんか!!
 といっても、師匠が客席へまわってきて、最前列の一家の前に顔を出したわけでは
ありません。
 なんと、ステージの袖から師匠が顔を出されたのです。一家で大笑いしてしまいま
した。笑ったのは一家だけです。あの顔が「圓窓」だと気付いた人は他にはきっとい
なかったことでしょう。客席はそのままの静寂でした。
 番組の内容よりもそのことが印象に残ってしまって……(笑)


 休憩時間のない公演でしたので、チャッキーさんからバトンタッチされたグッズの
販売時間もほとんどとれず、[寿限無]の扇子が一本売れただけという……。
 両親は私以上にとても楽しんでいたようです。
 ありがとうございました。


 16時5分の終演で、16時20分にはご出立。熊本空港へ向う一行のバスに一家
で手を振り、別れを惜しみました。
 ほとんど東京でしか聞けない圓窓師匠の高座。日帰りで師匠を聞けたのは実に6年
ぶりでした。織姫と牽牛よりもはるかに哀しい物語です。(笑)




団体で追っ掛けられて
三遊亭圓窓
 最前列に三人の団体客がずら〜り。
 楽屋内では、三人から団体と言いますので。(笑)
 鹿児島から車で片道2時間半もかけていらしていただいて、じっくり話もできず残
念無念でいっぱいです。
 こちらとしても二日間で三回公演というのは時間に追っ掛けられているようなも
んで、各地で名物を食しても落ち着きませんでした。
 そうそう、[おはぎ大好き]も菊地の民話にあるものなんですよ。
 あたしの知る限り、原話は安楽庵策伝の編集した「醒酔笑」に載っています。
「あるけちな男が穴あき銭に藁を通して(注:サシ)10本も溜めた人が庭の土の中
に埋めた。そのとき、『人が掘ったら蛇になるんだぞ』という呪いをする。それを垣
間見た隣の男が後日に掘り起こして銭を取り出し、代わりに蛇を10匹埋めておく。
何日かたって、けちな男が掘り起こしてみると、蛇がニョロニョロ。びっくりしたと
さ」というストーリー。
 後年、江戸の小咄として、こう変わった。
「おはぎを貰った小僧が他の者に食べられたくないので、『他の者が蓋を開けたら蛙
になるんだぞ』という呪いをしておく。これを知った他の者がそのおはぎを盗んで蛙
を入れておく。後刻、小僧が蓋を開けると、蛙が何匹も飛び出した。驚いて、『そう
跳ねるな。餡子が落ちるから』」
 あたしはこの江戸小咄の形(商家の奉公人同士)を高座でやっていたのですが、数
年前に菊地のこの民話を読んだとき、「これだ!」と膝を叩きましたよ。食べ物は同
じですが、登場人物が嫁と姑になっている。現代を考えると、登場人物が嫁と姑のほ
うが的確ではないだろうか。
 あたしはすぐに高座のこの噺を菊地の民話の形に変更しました。詳しいことは下記
のサイトを覗いてください。
http://www.ensou-dakudaku.net/znshu/minwa.html#民話落語


 ついでに雑学。
「おはぎ」は萩の花からの連想名。だから秋の言葉。同じ餅でもこれが春になると「
牡丹餅」という。牡丹からの連想。
 そこで、あたしもこの噺のタイトルを春は[牡丹餅大好き]、秋には[おはぎ大好
き]と変えています。
2005・10・18 UP